写真・図版
USスチールの工場入り口の看板=2024年12月12日、米ペンシルベニア州クレアトン、真海喬生撮影

 全米鉄鋼労働組合(USW)は25日、米鉄鋼大手USスチールを独立行政機関の全米労働関係委員会(NLRB)に告発したと発表した。USWは、日本製鉄による買収計画をめぐり、USスチールが数カ月にわたり労働者を威圧したなどと主張している。

  • USスチールという名前でなければ…合理性よりプライド、買収阻む壁

 USWの発表では、USスチールのブリット最高経営責任者(CEO)が労働者に対し、買収が実現しなければ組合のある施設には「財政的な約束はしない」「鉄鋼製品の製造を組合のない施設に移す」などと脅したとしている。また、USスチールのこうした行為は組合員を「互いに敵対させることで団結力を削ごうとした」と訴えている。

 日鉄は2023年12月、約2兆円でUSスチールを買収する計画を発表した。しかし、計画の発表直後にUSWは雇用への懸念などを理由に反対を表明。24年11月の大統領選を前に多数の労働者票を持つUSWが反対したことを受け、トランプ大統領とバイデン前大統領がいずれも買収に反対を表明し、政治問題化した。

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